問題解決の3つの方向性に立ちはだかる、解決できない理由をつくる解決しないほうがいい事情
目次
他人の先入観に振り回されないために
ナレーションの原稿を書く人がある事情で降板し、私にお鉢が回ってきました。
「◯さんが頼んでる人で専門外だけどできる子がいるから聞いてみよか?」
急だけどできるかな?
> 暇子だから多分いけますよ。
これを読んで、仕事のない人と思う人もいれば、余裕がある人と思う人もいて、私の思われたいようにはいきません。
それと、お鉢を回してくれた人に感謝するところは、仕事を回してくれたことでもありません。
「専門外だけどできる子=私」を一番に思い出してくれたことに感謝しないと縁はつながりません。
14'~15'年頃、ある出版編集者は、『コピーライターは仕事がないから大変だね』と言いました。
あぁ、この人は私がコピーライターに見えるんだと思いました。
この出来事は、他人の先入観に振り回されないために、私にブランドを確立しようと思わせ、事業改革の動機になりました。
それと、暇=仕事がないと思ってるのは相手の先入観なので、私ではなく相手の問題です。
1年くらいして、その編集者はまた同じことをメッセージしてきました。
これは縁を断ち切らないとずっと繰り返すと思った私は、権上の別れになるように返事をしました。
広告業界は、仕事のないコピーライターと、コピーライターを探している企業で溢れています。つまり、あなたが私に言ってることは、企業はモノを売るコピーライターがいなくて大変だということなので、あなたは私を通してモノが売れない編集者のあなた自身を見ていると思いますよ。
この文脈で悪縁は切れました。
他人の先入観に振り回されないために、自分はこういう者だというブランドを作りましょう。
望む状況が手に入る
ナレーションの原稿は、付け足したいことがあったので、取材先の農家に電話取材をお願いしました。
登場人物は、父、母、長男の3人。
まず、お父さんへ約束の時間に電話をしたらでられませんでした。
次に、お母さんへ約束の時間に電話をしました。
取材後、電話に出られなかったお父さんに何かあったのかを尋ねたことで、お母さんの不満が爆発。
要約すると、お父さんは時間が守れない、遅れても謝罪がない、この2点のうち、お母さんの怒りは「ごめんねがない」ことに集中していました。
私:仮に「ごめん」と言われても、遅刻するたび「ごめんね」と言われたらどう思いますか?
>ごめんで済んだら警察いらんわね。
私:そうですよね。だからお母さんが怒るべき点は、時間が守れないことですよ。
少し話してるうちに、お母さんの欲しいものは、謝罪じゃなくて気遣いというのがわかりました。
もしこのまま欲しいものが謝罪だと思い込んで生きていくと、例えばこうなります。
なんか甘いものが欲しい、と言ったらイチゴのショートケーキをくれる人がいた。
食べたけど、なんか違う。
そうだわ、私が食べたかったのは和菓子だった。
自分で買いに出たけど、どのお店もピンとくるものがない。
家に帰ったらもらったケーキの残りがある。
食べたら、あら、さっきとは違って美味しかった。
でも、どうせもらえるならモンブランがよかったな・・・。
要するに、人はみんな欲しいものは欲しい形でやってくるとは限らないんです。
誰かにもらうというより、自分の本当に欲しいものに気づかせてくれる何かと出会うということでもあります。
それに、今まで何十年も我慢してこれたことが我慢できなくなった時、今まで平気だったことが平気じゃなくなった時、それは、やっと自分のことを大切にできるようになった印でもあるんですよ。
自分が自分にできないことを人に求めてもしてもらえません。
自分を気遣えない私を気遣ってほしい、というのは無理だということです。
優しくない私に優しくしてと叫んでも、優しい人には出会えません。
だから、お父さんを気にするより、自分で自分を気にしてあげると、お父さんも変わり始めます。
なぜなら、人は誰かに必要とされなくなって(気にしてもらえなくなって)はじめて変わろうと思えるからです。
それに、今まで許されていたことが許されなくなった時、人はやっと立ち上がれるので、秩序を守れない人は許さないほうが相手のためですね。
お母さんは、望む状況が手に入る未来が見えたようで、「スッキリしたわ」と言われて電話を終えました。
望むもの以外で代用できると気づける
長男さんへも取材後、変えたいことを聞いてみました。
自分は結婚する気がないのに、母が結婚にうるさいのを変えたい、と。
こちらも要約すると、職業柄休みもなく、収入もあまり多くない。
こんな状況では、結婚や子育てをする気になれない。
女性だって嫌だと思う。
自分は人見知りで人づきあいが苦手。
女性とお付き合いしても長続きしない。
結局、この内容からして、結婚したくないのではなく、諦めているのがわかります。
したいけどできない時、「諦めるな」という心の声を代弁するネガなものに出会います。
長男さんの場合、結婚を諦めるなというネガなものが、お母さんの「結婚しろ」なんでしょう。
お母さんの小言は、長男さんの本音「できるならしたい」を後押ししているのだと思います。
私たち人間は、自分のもっている観念(信じ込み)の通りに演じます。
長男さんは、女性に嫌と思われ、おつきあいが長続きしない役柄の脚本のまま生きているので、【そんな自分を隠すために(鎧)】、諦める理由を収入や休みにしているのだと思います。
収入の問題だけなら、業種をアレンジして業態化するとか、休みは仕事を仕組化するとか、手段はいくらでもあります。
だけどそれをしてしまうと、結婚しない理由がなくなってしまうので(鎧がなくなるので)、今度はアレンジも仕組化もできない理由ができる人が多いんです。
長男さんは、アレンジと仕組化に興味を持たれたので、仕事に満足できたら結婚に前向きになるのだと思いました。
ということは、農家という仕事は好きだと言えます。
農家という望むもの以外で代用できると気づけるのは、加工(アレンジ)と仕組化が一番てっとり早いです。
だから、アレンジは例えに、「い草を売りたいなら畳を売れ」「水を売りたいなら酒を売れ」を話し、今はその上流まで考えないといけないと伝えました。
天ぷらうどんも、カレーうどんも、牛すじうどんも、うどんを食べてもらうためにあるなら、農家も孫請のままで何が売れても儲かりません。
それにアレンジしたことは、価値が変わるので、当然、売る相手を変えなければなりません。
例えば、マンションの設備で一番劣化が早いのは配管だそうです。
だから、軽くて腐食に強い高機能な配管パイプにアレンジできても、いつもの孫請に営業したら高いと断られるのがオチです。
孫請は、作業効率のいい軽さに価値を求めるので耐久性に価値はなく、安くしてほしいと言うのは想定内だからです。
つまり、上流まで考えるというのは、その配管を買うのは最終的に誰なのか?です。
マンションなら、できるだけ修理代をなくしたいと思ってるのは施主なので、施主に営業すれば売りやすいということですね。
仕組化というのは、例えば、コロナの時、給付金の配布が後手後手になったのは、手作業でやっているDXの遅れでした。
逆に生活者も同じで、例えば、マイナンバーカードの登録がネットでできない人は、役所で手続きをしていました。
窓口には長蛇の列ができていて、それは無人レジの操作がわからない人が有人レジに並びながら、「混雑する時間帯くらい人を増やせよ」と文句を言っている人に重なります。
自分ができないからやらないのであれば、時間を差し出すしかないのにです。
世界はトレードオフという原理原則で動くので、何かを得るために何かを失うのは、できるできないに関係ありません。
経済合理性は、ある程度時流に乗らないと採算が合わず、売れても儲からない、売れたら売れたで休めなくなります。
長男さんは若いだけあって、アレンジと仕組化に乗り出されました。
ゴール設定は、両親に「黙っとけ」と言える自分になることにしました。
ゴール設定を最初に作れば、他はどうでもよくなるので、意識が集中するところが変わってきます。
問題解決の3つの方向性に立ちはだかる、解決できない理由をつくる解決しないほうがいい事情
問題解決の3つの方向性に立ちはだかる、解決できない理由をつくる解決しないほうがいい事情とは、
まず、問題解決の3つの方向性は、どれも自分が変わることが前提です。
解決できない理由をつくる解決しないほうがいい事情とは、その前提ができない正当な理由になるものです。
時間が、お金が、部下が、会社が、持病が、子どもが、親が・・・等、社会が「それなら仕方ないよね」と納得する理由ですね。
気づいた方もいると思いますが、できない理由の中に「自分が」がないのは、自分を隠す(鎧)ための理由じゃなければならないからですね。
でも、自分は変わらない前提で、どんなにやり方を変えても問題を解決するのは誰も無理なんです。
その無理なことを実現しようとするから、問題は解決しないのです。
ということは、問題解決より先に、解決できない理由をつくる解決しないほうがいい事情(足かせ・ブレーキ)を解決しないといけないわけですね。
問題解決の3つの方向性をおさらいすると、
望む状況が手に入る(お母さんの例)
望むもの以外で代用できると気づける(アレンジと仕組化の例)
どうでもよくなる(結婚しろとうるさい母を変えたい長男の例)
それぞれできない理由ができるなら、それは解決しないことを望んでいるのです。
今より幸せになることより、今のままの自分でいたいと思っているのだと思います。
ありのままの自分を、そのままの自分でいいと思っているかもしれません。
悩んでるうちは苦しくても恐くないですから、恐さから逃げるために苦しみ続けるか、苦しみを取るために恐さを超えるか。
世界にあるトレードオフという原理原則は誰も抗えません。
昔、一人経営の美容室の予約を2回当日キャンセルして出禁になった私より。
山本真弓
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